じぶんで考える食の学校 じぶんで考える食の学校

photo NAOKI MIZOBATA

イベントレポート

最高のあんもち雑煮をつくろう!

2023.2.20 UP

香川県独特の郷土料理「あんもち雑煮」。
味噌汁に甘いあんこ!?食べたことがない人からは味の想像がつかないという声が聞かれます。その「あんもち雑煮」が、今回のじぶんで考える食の学校のテーマです。

1月29日(日)、香川の真ん中に位置する綾川町の香川県立農業経営高校で食の学校が開催されました。参加者の中には小豆島から朝5時半起きできてくれた親子も。
集合は朝8時20分!検温、消毒をして入場です。

参加者の応募動機には、「食べたことがないから」「じぶんで作ってみたい」「食の大切さを学びたい」というコメントが寄せられていました。

あんを炊き、餅をつき、出汁をとる、具材を切って炊く、味噌を選ぶ。あんもち雑煮づくりのすべてを体験する1日が始まります。

冒頭は全員の自己紹介から。名前と好きな食べ物を発表していきます。

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人はなぜ味を感じるのか?

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「いりこを見て感じたことを話してみよう!」

皮切りは東京からやってきた学習院女子大学の品川先生による食育講座。大学では毎年、お雑煮のワークショップを実施しています。香川のあんもち雑煮は珍しさから取り上げられることが多いとのこと。お雑煮は京都から始まった、実は神事だった、という話に一同、興味深く聞き入っていました。

食育では、人はなぜ味を感じるのか。なぜ生きていくのに五感を高める必要があるのかという問いが。
大人も子どもも、食べることへの意識が高まるお話でした。

まずはあんこ作り

品川先生のお話の後、あんもち雑煮づくりに入ります。
まずは「あんこ」から。会場の農業経営高校にほど近い「山清」の松下社長は、あんこ炊きの名人。山清はあんことからしを製造する会社です。なぜ北海道の小豆を使うのか?
なぜ炊く前に小豆を磨かなければ(磨く=洗う)おいしいあんこにならないのか?
松下社長は子どもたちに向けて、食品づくりの姿勢と情熱を伝えました。

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山清 松下社長は、あんこ炊きの名人

積み重ねてきた技術を披露しながら、カセットコンロに火をつけた松下社長。それから2時間半、つきっきりであんこを炊き上げました。保護者の方からは「たくさん質問したのに全部答えてくれた!」と満足げな感想をいただきました。

工場と違ってカセットコンロだったので2時間以上かかりました。

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山清では小豆を炊く前の磨き(洗い)がポイント

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2時間以上かけてあんこを炊きあげた

元気にもちつき!

次は子どもたちが楽しみにしていた餅つきです。もち米は高松市の米屋ながはらさんが選んだ善通寺市産クレナイモチ。前日に磨いで、浸水しておいたもち米を1時間以上しっかり蒸し、石臼に移します。餅つきの先生は、畑に行く八百屋sanukisの鹿庭さん。
14年続く店頭での餅つきが評判となり、毎年注文数を増やしています。
鹿庭さんが、もち米を杵で潰し、米粒が見えなくなったところで、子どもたちの出番。みんなの杵つきと鹿庭さんの手の返しでやわらかく伸びのある餅がつきあがりました。

大きく振り上げて、みんなのかけ声でつきます。

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(中央)畑に行く八百屋sanukisの鹿庭さん

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手拍子でリズムを取って「よいしょー!」

熱いうちにあんもちに

あんこを丸めてあん餅にするところ、ここからは、八百屋ひとみさんの登場。
高松市内で総菜が楽しめる青果店を営むひとみさんは、各地で子どもと田んぼや畑をつなぐワークショップをしてきました。生産者を支えることをテーマに活動しています。

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八百屋ひとみさん

ひとみさんに励まされながら、餅が熱いうちに、あんこをくるんで継ぎ目を閉じていきます。

熱いうちに伸ばして、閉じる。これが難しい!
農業経営 食農科学科2年生 半田君もサポートしてくれました。

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立派なあん餅ができました!笑顔もあん餅もまん丸です。

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あんもち雑煮の出汁

餅つきとあん餅づくり。初めてという参加者が多かったです。
次は、あんもち雑煮の出汁を選びます。

子どもたちは、昆布、鰹節、いりこ、3種類の出汁を味見して、どの出汁があんもち雑煮にいいか、判断します。

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調理の先生は引き続き八百屋ひとみさん

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3種類の出汁を味見

一番人気はいりこ!香川の伝統的なあんもち雑煮は一般的にいりこ出汁に白みそとされていますが、11人がいりこ、2人が鰹節を選びました。

味噌を選ぶ

出汁の次は、味噌を選びます。
白みそと決めつけずに、じぶんで考えてみるのです。
農経高校では3種類の味噌が作られていて、中でも黒大豆味噌は、大豆から農経高校の畑で育てています。

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農経高校 食農科学科2年 半田君が味噌を紹介

味噌は、大豆、麹、塩でできている発酵食品です。

子どもたちは試食をして、自分が使いたい味噌を探しました。

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うーん、悩ましい!

白みそを選びました。

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出汁を取る、野菜を切って煮る

出汁素材と味噌を選んだら、いよいよ出汁を取ります!

いりこを選んだ子どもたちは、いりこの頭とはらわたを除く作業があります。
どこがはらわた?これは?あってる?手探りでいりこを分解します。

なんとか分けて、鍋べに投入!

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コンロを点火して、出汁を取る間に、大根と金時人参を切ります。
「お雑煮の大根と金時人参は丸くするのが特徴だけど、今日は自分が思うように切ってみて、大きさも厚さも、どんなのが食べやすいかなあとか、きれいだなあとかね。」
ひとみさんは、考えて切ってみてと投げかけます。

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すると、野菜の切り方はみんなバラバラ。個性が出ます。

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そろそろ沸いてきました。ひとみさんのアドバイスでお玉杓子でアクを取ります。

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出汁が出たなと思ったら、笊をのせたボウルに取ります。気を付けて。

出汁ができたら鍋に戻して切った野菜を入れます。

くぼさんのとうふさんが寄付してくれた油揚も入りました。
いい油で揚げているので油抜きの必要がないそうです。

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さて、野菜は煮えたかな。
お箸で刺してみよう。

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野菜が煮えたら、選んだ味噌を溶きいれます。

味噌は少しずつ入れて、味見をしながら味を調えます。

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味見をしながら味を調える

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農業経営高校の味噌は協賛スポンサーの皆さんにも大好評

できた!

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お雑煮に名前をつけよう

あん餅づくりから、出汁をとり、味噌選びまで考えて挑戦したお雑煮づくり。
いよいよクライマックスはお雑煮のネーミングです。
果たして渾身のお雑煮にどんな名前がついたでしょうか。

こんな新しいお雑煮も生まれました。

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かくし味とは東洋オリーブさんが持ってきてくれた小豆島産のオリーブオイルです。
たくさんの子どもが使いましたが、味噌や出汁とよく合って、まさに郷土の味となりました。

背筋を伸ばして「いただきます!」

みんなでお雑煮を食べました。

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みんなの素敵なところを賞にしました

子どもたちは無事、13種類のあんもち雑煮を完成させ、審査に入りました。審査員のみなさんは子どもたちと同じように真剣なまなざしです。

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試食の結果、それぞれに素敵な賞が贈られました。

「いい音だし、シャレてるで賞」
「ダシがきいてるで賞」
「THEさぬきの味をひきだしたで賞」
「赤みその可能性発見で賞」
「大野原と島がつながったで賞」
「やさいとオリーブオイルでダイナミックだ賞」
「すべてが円満で賞」
「家族がまた作ってほしいで賞」
「やる気まんてんうまみで賞」
「島の愛を伝えてくれたで賞」
「かつおと赤みそ上手くあわせたで賞」
「つゆたっぷり料理上手で賞」
「もちもだしもやさいも大切にしたで賞」

同じ時間を過ごした小学生たちが作ったお雑煮はどれも個性的、自分にしか作れない郷土の味でした。
毎年、「じぶんで考える食の学校」を応援してくれている東洋オリーブの佐々木さんが3度目のプレゼンターです。

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最後に記念撮影!

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参加者の皆さんからあたたかいメッセージをいただいています。

保護者感想
  • ・お餅をつく機会も小豆を炊いてあんこになるのを見たこともないので、とてもいい経験になりました。
  • ・普段なにげなくしている料理について細かいところまで息子が経験できたことがよかったです。出汁や味噌の味比べができたり、それぞれの出汁の取りかたを知るよい機会だったと思います。息子も出汁を自分で選び、出汁を取るところから出来たことがいい経験になったそうです。
  • ・子どもの五感を高め、食農の大切さを実感させていただく貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
  • ・本当に盛りだくさんな内容で楽しかったです。品川先生の自己肯定感から入る授業から始まり、小豆を淡々と炊いていらっしゃる松下先生、活気あふれる鹿庭先生の餅つきは地域活性の思いを感じましたし、紅一点池田先生の聞きやすい話も参考になりました。
  • ・餅つきをしたり、だしの下ごしらえから自分の手でできたことで子どもが達成感をもてた。料理の楽しさやもっと根本的な、食というものは五感を使って感じ取り、自分のものにしていくのだと教えていただき、子どもの時から貴重な体験をさせてもらったと思う。少しでも身近に食を感じてもらい、これからの生活に生かしてほしいと思う。

子どもたちが達成感を感じられ、またこれから食べることへの意識を高めてもらえることができれば、地域に持続可能な食の循環ができていくのではないでしょうか。地域の未来を担う子どもたちに少しでも貢献できたなら、SANUKI TABLE「じぶんで考える食の学校」としても嬉しい限りです。

またこのイベントを支えてくださる協賛スポンサーの皆さんも多くご参加いただきました。子どもたちを見守り、共に学んでいただけたことと思います。
ありがとうございました。

最後に、会場となった農業経営高校様には準備から運営まで大変ご尽力いただきました。
岡田宏美先生、ありがとうございました。

みなさん、それぞれのご家庭でぜひ、家族がよろこぶあん餅雑煮、作ってみてください。

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\イベントの様子を放送しました/