じぶんで考える食の学校 じぶんで考える食の学校

photo NAOKI MIZOBATA

イベントレポート

【4日目】ニュース「食 だれもしらせてくれないけん」を作ろう!

2021.12.15 UP

「じぶんで考える食の学校2021」は、とうとう最終日!
自分で撮った写真を構成してニュースにし、発表する日です。
この日、河田先生は、一番に、発表会場であるテレビ局のスタジオに子どもたちを案内しました。

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「うわー!本物だー!」
他では見られないスタジオの様子にみんな大興奮。ニュースのセットや放送機材を見て好奇心に目が輝きます。しかし、喜びもつかのま、すぐに、一人ずつ、立ち位置とiPad操作の確認に入りました。本番間近のため、皆、集中します。

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「きれいに整えることが正解ではないんです。思い切り暴れてくださいね」
「歌っても踊ってもいいの?」
「もちろん!」

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河田先生のうなずきを子どもたちはどう受け止めたでしょうか。このイベントの裏テーマには、「正解からの脱却」があります。
感じたことに正解も不正解もないこと。人から見てどうかは気にしないこと。
自信が持てる体験となって、常に自分の感じたことを肯定できるように、という願いがあるのです。

ニュースづくりは、真剣モード!

スタジオの確認後、本番まであと4時間を残すところとなりました。部屋に戻って、「だれもしらせてくれないけん」のニュース作りに取り掛かります。自分が一番強く感じた瞬間を思い返しながら、子どもたちはテーマと写真を絞り込んでいきます。

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「自分らしく」ってどういうこと?
「わくわくしながら思いやりをもって伝える」ってどういうこと?

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河田先生は振り返りながら、子どもたちに様々なメッセージを出します。
写真を選び言葉がまとまった後、子どもたちは、口に出して読んでみます。
「ニュースを見る人が、どこにワクワクするかな?」
「このニュースのどこに自分をいれたらいいかな?」

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様々な問いかけが、河田先生から出てきます。
「うどんを伸ばすのがたいへんだった」
「それ、いいんじゃない?」
河田先生はアドバイスを行いますが、決して「正解・不正解」を伝えません。決めるのはぜんぶ子どもたち自身。子どもたちは自然にすべて自分ごとにしていきます。
iPadで写真を編集したり、ニュースを読んでいるところをお互いが動画撮影しあったりして、何度も繰り返し練習します。すると、自然に協力し合う「チーム感」も出てきました。

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最後の予行演習では、お互いのいいところに対する気づきが取り込まれます。KaNoHaプロジェクトのみうさんの発表に対し、子どもたちも口々に「いいな」と思ったところを発表します。子どもたちの目もどんどん磨かれていきます。

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「文字バーンがいい!」
「写真をたくさん使っていた」
「実際、作ってみたのがいい」
「大きい声と小さい声を、上手に使い分けていた」
「原稿は読むものじゃない。伝えるものだ!」
「えー。覚えるのがたいへーん。」
そう言いながらでも、投げ出す子は一人もいません。少しでもニュースの内容をよくしようと最後までiPadや原稿とにらめっこしていました。

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お昼の休憩は、「香川の食」が詰まったお弁当!

さて一旦休憩。お昼ごはんの時間です。出張料理ヨコヨコさん特製「香川の旬弁当」。

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「オムライス!カレー!ピザ―!」と食べたいものを並べていた子どもたちも、オリーブハマチの西京焼きやオリーブ豚叉焼、ブロッコリーの出し巻、金時人参のキャロットラペ、さつまいもごはんに「うめえ、やべえ」と大反響。ヨコヨコさんの心のこもったお弁当から、子どもたちはエネルギーをもらっていました。

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さぁ本番!思いっきり伝えよう!

本番まで、あと一時間。子どもたちは自分たちで、発表の順番を考えました。
「同じテーマが続かない方がいいよね」
「テーマが二つの人はあとのほうがいいよね」
そうやって子どもたちは自分たちで考えながらグループに分かれ、じゃんけんで順番を決めていきました。

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さあ、スタジオに移動です。廊下を移動しながら、先ほどのリラックス感は薄れ、表情にやや緊張が走ります。

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最後のリハーサルを終えてスタンバイしていると、14時前には見学の家族がスタジオに入ってきました。

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こどもたちは無意識に背筋が伸びています。
さあ、マスクを外して、笑顔で登壇!本番です!

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個性あふれるみんなに、個性際立つ賞を!

子どもたちの発表は、ご家族そしてゲストの食の匠たちに熱く届きました。審査員となったのは、河田先生、品川先生、柿茶本舗の井上社長、さぬき麺業の香川社長、東洋オリーブ広報の佐々木さんでした。

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全ての賞の名前が違うのは、先生方が子どもたちの視点の素晴らしさと個性を評価し、それを賞のタイトルにしたからです。1人1人を表彰する時、品川先生はそれぞれに「どこがよかったか」を伝えました。

五感が鋭く、上品で賞
自然を大きく見ているで賞
さぬきの文化を受け継いでるで賞
香川の技術に気付いたで賞
柿茶の魅力を伝えてくれたで賞
職人の技に気付いたで賞
柿茶の作り手によりそったで賞
生まれて初めての体験を表現したで賞
食べることの意味を教えてくれたで賞
農家の匠を笑顔で伝えたで賞
さぬきうどんの本質をつかんだで賞
豊かな表現力でもっともっと香川の食を伝えてほしいで賞

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品川先生は語ります。
「子どもたちは、ただ味わうだけでなく、周りをよく見て自分の言葉で表現しています。大人よりも感受性が高く、無意識で核心をついているところが本当にすばらしい。その点を大人も理解して、子どもたちに拍手をおくっていただきたい」

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河田先生も続けます。
「香川県のいろんな場所から12人が集まったことは奇跡です。コロナウイルスで触れ合うことが敬遠された時間が過ぎましたが、子どもたちの姿に多くのことを学びました。おうちの人は送り迎えなど大変だったと思います。それ以外にも兄弟姉妹の面倒やおうちでの仕事にも感謝してください。
今回の経験で植わった“種”は、どれくらい大きく育つか分かりません。しかし、確実に種が植えられました。これから先ぜひ、その種を花開かせてほしいです」
子どもたちの経験の場を重ね、香川から、いい子どもたちを大きく育てていきたいと語る、河田先生のメッセージは、家族の人たちの心にも大きく響いたようです。

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こうして、4日間に渡る「じぶんで考える食の学校」イベントが終りました。自分だけのニュース。苦労して最後まで頑張ったからこそ、手ごたえを感じ、自信に変えられたのではないでしょうか。地元香川の食の世界にいる、大人たちの長年の積み重ねが子どもたちのアンテナに触れ、伝えられたこと。子どもたちの心に植えられたそれぞれの“種”のこれからが、楽しみでなりません。