- KSB放送日時
- 8月30日(土) 午後1時30分~
※各地域の放送日時は、テレビ朝日テレメンタリー2025のHPでご確認ください。
その経験を誰にも語らず、70歳から絵筆を握った男性と、遺志を引き継いだ孫の画家。
戦争の記憶を次世代につなぐ取り組みを追う。
番組内容


戦後、旧ソ連軍により約60万人の日本人が極寒の地で過酷な労働を強いられ、約5.5万人が亡くなったとされる「シベリア抑留」。香川県さぬき市出身の川田一一(かずいち)さんは20歳のとき旧満州で終戦を迎え、捕虜として現在のカザフスタンにあった収容所に送られた。3年後に帰国した川田さんは自身の経験を誰にも語らず、70歳になって初めて絵筆を握り、抑留の記憶や仲間への鎮魂の思いをキャンバスに描き始めた。
川田さんの孫で画家の千田豊実さん(43)は、祖父の作品や伝え聞いた言葉を頼りにシベリア抑留をモチーフにした作品を手掛け、2人で展覧会を開催。隣に並んで絵を描く祖父が、時折うずくまって涙を流している姿も見ていた。


2012年に川田さんが87歳で亡くなった後も、千田さんはその遺志を継いで「シベリアシリーズ」を制作。若い世代にも伝えていくため、四国学院大学で演劇を教える友人の仙石桂子さん(44)に、祖父の体験を演劇にできないかと持ち掛けた。
2人は2025年12月の公演に向けて約1年半の制作期間をとり、シベリア抑留者の遺族や語り部らを招いた座談会を企画。また、千田さんは10年ぶりの2人展開催に向けた新作にも挑む。


演劇でも新作絵画でも、テーマとなるのは川田さんが抑留経験を語れなかった“沈黙”の時期だ。人の命を奪うだけではなく、生きて帰った人をもずっと苦しめる戦争…。戦後80年を迎え、体験者から直接話を聞く機会が年々減る中、その「記憶」を次世代につなぐ取り組みを追った。
ナレーション

成河(そんは)
東京都出身。大学時代から演劇を始め、北区つかこうへい劇団などを経て舞台を中心に活動。2008年に文化庁芸術祭演劇部門新人賞、11年と25年に読売演劇大賞優秀男優賞などを受賞。近年の主な出演作に、舞台では、『髑髏城の七人』Season 花、『エリザベート』『スリル・ミー』『ねじまき鳥クロニクル』『未来少年コナン』など。映像では、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、映画吹替えに実写版『美女と野獣』、『ミッキー17』など。