photo NAOKI MIZOBATA
【1日目】「じぶんで考える食の学校2021」で香川の宝を発見!
3年目を迎えた「じぶんで考える食の学校」。今年も、香川県に住む小学生12名が集まり、生産地を訪れて自分の感動をニュースにします。11月7日、子どもたちは、緊張の面持ちで瀬戸内海放送高松本社に集合。これから始まる香川の食の匠たちとの出会い、そして子どもたちのトライアルが楽しみです。
子どもたちのミッションは、自分にしか伝えられない食のニュース「だれもしらせてくれないけん」を作ること。一番心が動いたことを、たくさんの人にわかりやすく伝えます。今年の取材先は、「坂出金時、オリーブハマチ、アボカド、さぬきうどん、柿茶」の5つ。香川が誇る“そこにしかない価値”のどこを、子どもたちはどう切り取るのでしょうか?
さて、食の取材に出かける前に、ぜひ、知っておきたいことがあります。「伝える上で大切なこと」と「食べることの意味」。それぞれの分野の専門家が、今年もやる気サポーターとして参加してくれました。子どもたちを牽引するのは昨年と同じ、下村健一先生(メディアリテラシー)品川明先生(食育)、河田祥司先生(ファシリテイタ―)の3人です。
メディアリテラシーは、下村健一先生
下村さんは、TBSアナウンサーや内閣審議官などを歴任、現在は白鵬大学特任教授を務めながら、幅広い年代のメディア・情報教育に携わっています。
東京からオンラインで呼びかけてくれた話のテーマは、「ワクワクの見つけ方、初めて会った人に取材する方法」です。
「君が聞きたいと思うことを遠慮なくぶつけてごらん。自分の頭で考えて、心で感じて、思い切りやっていいから!」
下村さんが惜しみなく伝えてくれた取材のコツはこちら。
「ワクワクしながら質問すること」
「イエスノーで答えられる質問はしないこと」
「格好つけずに聞こう」
「ボンヤリ解答は、ちゃんと確認しよう」
「情報交換しあって、お互いの発見を足し算しよう」
一番伝えたいことは何だろう?
どうしたら相手に伝わるだろう?
下村さんは「“伝える”より“伝わる”ことが大切。相手のことを考えて、思いやりを大切にリポートしよう」と話しました。そして「どうして?どうして?と何度も掘っていく大切さ」を強調しました。
取材の練習では、子どもたちは言葉を選びなら、隣の席の人に実際にインタビューします。
「あなたの一番好きなものは何ですか?」
「どうしてそれが好きですか?」
「もう一つ聞いてみたいこと、聞いてもいいですか?」
質問をどんどん重ねていき、下村さんの「どうして?どうして?」を実践しながら、次第に和気あいあいとした雰囲気が生まれてきました。
食育は、品川明先生
次に登場したのは、学習院女子大学教授でフードコンシャスネス研究所所長の品川明さん。通称「しじみ先生」は、しじみの帽子をかぶっての登場です。
品川先生は「“ありがとう”の意味を知っていますか?」と問いかけます。
「いただきます」「ご馳走様」「おかげ様」「もったいない」「有難う」この5つの心で成り立つのが「食」であり「食は命、つながり、恵みです」と語りかけます。
また、食は目の前に見えるものだけではなく、関わりあるものも感じることが大切。それを体感するため、品川さんは生と炒った2種類のアーモンドの食べ比べを行いました。
「身体のどこを使って食べていますか?」
目で見て、手で触って、鼻でにおいを嗅いで、口に入れて、歯で噛んで、耳で音をきいて、舌で味わって。子どもたちは五感を意識します。
「私たちが食べているのは、炒ったアーモンドです。でも生のアーモンドの味はどうですか?鼻をつまんで食べてみるとどうですか?アーモンドの言葉を感じてみましょう」
生産者や自然など、食べものの背景もまた「見えていないところ」とも言えます。しかし「自分の感じること」を自分の言葉で表現できる大切さを、品川さんは訴えます。
「食の感じ方に、間違いはないんです。自信を持って!」
子どもたちの個性を引き出す、KaNoHaプロジェクト
今回、新たに加わったのは香川大学のKaNoHaプロジェクト(かのはプロジェクト・ 香川の農業を発信するプロジェクト)です。
かのはプロジェクトは、 SNSやラジオ、イベントを通じて、香川の農家の思いや農に産物の魅力を、知ってもらおうと活動しています。
今回、かのはプロジェクトのメンバーも子どもたちに同行し、豊かな表現力で子どもたちの個性を引き出しながら「だれもしらせてくれないけん」を作ります。
初日は「自分らしく感じたままを伝えていいんだよ」というメッセージを込めた動画を、子どもたちに向けて発信。これから取材の現場や発表会を、大いに盛り上げてくれそうです。
子どもたちのやる気に火がついた!?
その後、翌週に予定されている取材先が紹介されました。坂出金時、さぬきうどん、アボカド、オリーブハマチ、柿茶の5つ!東は東かがわ市・西は三豊市財田町へと県内を回って取材する計画が発表されました。
子どもたちの牽引役は、今年も高松市総合教育センター研修係長の河田先生です。
初日は、子どもたちがお互いを知り、チームになれるよう、好きな食べもの紹介などでコミュニケーションを優先。わきあいあいとした雰囲気をつくりました。子どもたちの表情もしだいにほぐれ、向かい合って話す中で、活気が増してきました。
初日の発見は「取材にとって必要なこと」「五感を使って感じること」そして何より「じぶんで考えることの大切さ」でした。翌週に控える2日間の取材で、子どもたちはどんなことを感じて、何を伝えたくなるのでしょうか。子どもたちには、やる気の芽が芽生えたと思います。
子どもたちが「だれもしらせてくれないけん」を発信できるよう、周りのやる気サポーターたちも、やる気満々、ワクワクしています。
香川県の小学生が地元の食材の産地などを取材し、オリジナルのニュースづくりに取り組みました。
児童たちは、ただ生産者の話を聞くだけではなく、匂いをかいだり、味わったりと「五感」を使っておいしさの秘密に迫ります。「自分だけ」の気付き、そして、伝え方を目指した小学生記者たちの奮闘を追いました。