住職による版画が約300点!ユーモラスなアートの寺【岡山県真庭市】
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真庭市にある、知る人ぞ知る意外なアートスポットを紹介します。
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アーティストは住職一人。「版画寺」として愛される
勇ましい竜や虎に、なぜか空に向かって跳ねる魚たち。
木版画の作品が美術館のように並んでいます。
通称「版画寺」と呼ばれているここは、真庭市の久世地区にある曹洞宗の寺・毎来寺(まいらいじ)です。
(毎来寺/岩垣正道さん)
「ひらめくのを待つわけです。ある時パッとひらめいたら、しめたもんです」
飾られている約300点の版画は全て、住職の岩垣正道(82)さんが40年以上かけて1人で制作したものです。
なぜ作品づくりを?「趣味に版画もいいなと」
鳥取市出身の岩垣さんは、35歳でこの寺に来ました。
(毎来寺/岩垣正道さん)
「高校、大学とクラブ活動で美術部というのがあって、そこで油絵を描いたりしていましたから。絵は好きでしたね。このお寺へ来て、これから趣味を持ちたいなと思ったときに、油絵じゃなくて、版画もいいなと思って」
はじめはお経の版画を作り、檀家に配ろうとしましたが、納得するものができなかったので、結局は配らなかったそうです。
(毎来寺/岩垣正道さん)
「版画じゃなく”版字”というか。お経を彫ったのが出発で、絵が好きだったからできたんでしょうね」
岩垣さんの活動の転機は、作品を襖に貼ろうと思いついたことでした。
(毎来寺/岩垣正道さん)
「ただ最初はね、襖をしてもらって、表具屋さんに貼ってもらったら、黒いものが攻めてくるようでちょっと落ち着かなかったです」
これは良寛和尚の歌に画をつけた作品です。
うぐいすがさえずる すいようのきし いぬはほゆ やげつのむら
(毎来寺/岩垣正道さん)
「しだれ柳にウグイスがいるんです。そして犬が鳴いているという風景です」
Q. ほえている犬がなんともかわいいですね
(毎来寺/岩垣正道さん)
「ロバですかと言われた人もいます。犬なんですけど、ユーモラスにできれば。それがなかなか難しいんですけどね。初めはきゅうくつで真面目だったのが、リラックスして制作できたんでしょうね。」
岩垣さんは版画の魅力について「絵を描いてもいいのに、わざわざ彫って刷るからこそ生まれてくる味があって面白い」と話していました。
ユーモラスを大切に!迫力ある作品やモダンな表現も
「おお!ご住職!大作ですね!」
取材中、記者が驚いたのは4枚の襖がつながった大きな作品です。
半年くらいかけて制作したということです。
明日よりは のちのよすがはいざ知らず きょうのひとゆは えいにけれしも
(毎来寺/岩垣正道さん)
「玉島の円通寺で修行された良寛さんは、お酒がお好きだったので、いろいろあって酔ってしまいました!そういう気楽な和歌だと思います」
Q.猿がいいですね
「そうですね。ユーモラスだと言われます。中心に座っていますしね。動物が遊んでいるという自然のありのままの様子を表現しました」
こちらの一角は、丸や三角などの幾何学模様が並んでいます。
(毎来寺/岩垣正道さん)
「私もモダンアートみたいなのが嫌いじゃないんで、そういうのができないかなと。だんだんやるうちに移り変わっていくんですね。本当は商業美術というか『ポスターを描いたりする人になれたらいいな』くらいに思っていました。だけど、今は版画でデザインをやってるような。不思議なもんだなと思っております」
芸術の秋。
表現する楽しさを忘れない、岩垣さんの作品を見に行ってはいかがでしょうか?
毎来寺(まいらいじ)
- 住所
- 岡山県真庭市目木1001
- 電話番号
- 0867-42-0932
- その他
拝観時間:午前9時~午後4時
※事前予約をお願いします