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【高見島・多度津】瀬戸芸秋会期の注目作品は? 空き家を活用した作品が多く登場

29日に始まった瀬戸内国際芸術祭の秋会期。その注目作品をご紹介します!
瀬戸内国際芸術祭の秋会期では香川県の4つの島が会場に加わります。

多度津町の高見島には12の新たな作品が展示されています。(※展示替え作品を含む)

「Merry Gates」内田晴之さん

「Merry Gates」内田晴之さん

「港の近くにできたこちらの新作!赤くて大きくて目を引きます。島で使われていた瓦が点在して積み重なった先に、新たな島のシンボルが生まれたように感じます」

門をイメージして作られた高さ約3.5m、幅約7.5mのこの作品。三角の土台の上に乗ったパーツは、風が吹くと最大で15cmほど上下に揺れます。

(作家/内田晴之さん)
「島の人たちがどこか行ったときに『どこに住んでるの?』『高見島、赤い彫刻がある島』と言ってくれたらいいな」

作家の内田さんは、アーティストを目指す大学生らと一緒に約10年前から高見島で空き家を活用したアート活動を行っています。

(作家/内田晴之さん)
「僕らが来た時からすでに過疎化が進んでいる島だったんですけども、さらにその流れが加速したという感じで。古い家というのは、家そのものが素材になる。そういうことは画廊空間や美術館ではできないことなので、そこが一番面白いところだと思いますね」

「まなうらの景色2022」村田のぞみさん

「まなうらの景色2022」村田のぞみさん
「まなうらの景色2022」村田のぞみさん

現在、高見島の人口は29人(9月1日現在)。
過疎化が進んでいて集落には空き家が多くあります。島の景観を守ろうと、アーティストや元島民らが定期的に路地の整備や空き家の改修などを行っています。

「Re:mind」山下茜里さん

「Re:mind」山下茜里さん
「Re:mind」山下茜里さん

古い建物を活用したこの作品は、「気配」を可視化。
人が去った家で押入れや、畳の下を開けたりめくったりしたときにそこに存在していた「何か」をいろいろな目で表現しています。

「過日の同居2022」藤野裕美子さん

(野口真菜リポート)
「屋根裏部分に作品が展示されています。大きな梁が立派に残っていて、そこに差し込まれるように絵が組み込まれているんです。時間軸が交錯して、目の前に鮮やかな景色が広がります」

「過日の同居2022」藤野裕美子さん

木枠に貼った麻の紙をキャンバスに絵の具で描いた「過日の同居2022」。
この作品を作るために、作家の藤野さんは住民がいなくなった板持地区を元住民の案内をもとに取材してきました。

(作家/藤野裕美子さん)
「改めて今回取材させていただいたときに、とりわけ家の中に残されている戦時中の物品、急須や湯呑みや茶碗の日用品にも国策標語が印字されていたりとか、そういったものがたくさん目について、穏やかな島の暮らしが戦争に脅かされていた時代もあったんだなというのを肌で感じて」

黒い文字のような部分は、取材中に古い空き家で見つけた「言葉」をモチーフしたものです。
書道の半紙に書かれた「国に報いる」という言葉に、上から墨で線がひかれていたということです。

(作家/藤野裕美子さん)
「この文字から私が感じた威圧じゃないですけど、『報い』という文字が思い切り消されていて痛々しい感じがしてしまって。読ませたいというよりは重い空気みたいなものを。勢いよく消されている寂しい勢いみたいなのと(伝えたい)」

会場の1階部分では、3年前に公開した作品に一部新作を加えて再展示しています。

(作家/藤野裕美子さん)
「行くたびに家の倒壊が進んでいたりして、それぞれの家や中に残されているものに出会うのが最後かもしれないなということも感じながら、じっくりそれぞれのモチーフに向き合って描いたという感じです。島の暮らしなどについて思いをめぐらせながら見ていただけたらうれしいなと思います」

「≪多度津街中プロジェクト≫Nocturne(Tadotsu)」山田悠さん

秋会期の作品は、島だけでなく多度津町の伝統的な町並みが残る「本通商店街」にも展示されています。

「≪多度津街中プロジェクト≫Nocturne(Tadotsu)」山田悠さん

江戸時代から残る酒蔵に展示されているのは、作家の山田さんが満月の夜に多度津の街を歩いて撮影した写真からなる映像作品です。
酒蔵の存在感を生かすため、あえて暗幕などをかけずに展示しました。

(作家/山田悠さん)
「街並みを主役にできるような作品ということで、時間を超えてといいますか、現代に生きているんですけど、この建物だったら江戸後期に建てられた建物がそのまま現存しているというので、ここだけに限らず街中のあちこちにそういう見たことのないような建物がたくさん残っているので、作品を町とを交互に行き来しながら見てもらえたらうれしいなと思います」

「本通商店街」には合わせて3つの展示が公開されています。

瀬戸芸の秋会期は11月6日まで行われます。

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