移住者がつなぐ 自然豊かな五名地区の新たな可能性 香川県・東かがわ市
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今回紹介するのは徳島県との県境にある集落、東かがわ市の五名(ごみょう)地区です。
豊かな自然を生かして林業や農業が続けられてきた地域で、移住者たちが新たな可能性を切り開こうとしています。
五名活性化協議会の会長 小北逸郎さんは、春と秋にハイキングを企画して五名の里山を案内しています。
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時とともに感じる五名で住む良さ 木工家 山地裕之さん
まず小北さんが案内してくれたのは、家具の展示販売をしている家具工房「木乃花」。
木工家の山地裕之さんは家具工房「木乃花」を営んでいます。
東京や宮崎など全国各地で家具に携わる中で五名に作業所を構えたことをきっかけに、18年前に移住しました。
釘などを使わずに木と木を組み合わせて作る「指物」という技法にこだわっています。
―移住者から見た五名の魅力とは?
「移住してきて約18年くらい経つんですけど、住むよさっていうのがよさに気づくのが時とともにすごい大きくなってくる。犬を飼うようになって散歩で、朝ぐるっとこの地区を回るじゃないですかそれだけでも感動があるんですよ。
なんていうか空気感というかこの景色というか、なんて贅沢な空間なんだと思って」
ふるさと納税の返礼品で大人気!薪ステーション長 戸井裕孝さん
4年前に高松市から移住してきた戸井裕孝さん。
2019年にオープンした「薪ステーション」を任されています。
―薪の人気も高まってきてるんですか?
「すごい高いですね。県内も薪ストーブの業者さんが多くて多分まきの方が追い付いてないんじゃないかと」
東かがわ市は戸井さんがつくったまきを、ふるさと納税の返礼品として出しています。
まきストーブの需要やコロナ禍でのキャンプ人気で全国から注文が殺到していて2021年の9月下旬に受け付けを始めた150トンのまきが約3か月半で受け付けを停止するほどの人気だったそうです。
五名のイノシシを自分自身で解体しジビエ料理に 飯村大吾さん
続いてやってきたのは産直カフェ「五名ふるさとの家」です。
店長の飯村大吾さんは北海道出身。6年前に林業の研修生として移住してきました。
ふるさとの家は、地域の交流拠点として2019年7月にオープン。
「五名の木」を使って建てられました。
木工家の山地さんの作った机や椅子も置かれています!
五名でとれた野菜や米などのほかイノシシやシカの肉を使ったジビエ料理を提供しています。
「イノシシとシカ肉のあいびきになってます。ここは山間地ですので、栗やドングリ、シイの実が豊富で、(それらを食べる五名のイノシシは)脂がさっぱりしているのが特徴です」
「お肉のギュッとうまみが詰まっている感じが普通のお肉よりもより強いように感じます。全然クセも臭みもないです!」
五名では、2006年に四国で初めてイノシシの解体所が作られました。
その翌年には地元の猟友会がイノシシの魂を供養するため猪魂碑を建てました。
五名地区では毎年80頭ほどイノシシが捕獲されています。
飯村さんは自分自身で解体してお客さんに出しています。
「食材と向き合うときに、そこに作り手の顔も浮かんだりとかこういうのはすごく大切かなと思いながらやっています。なるべくこういった方たちが作った思いを一緒に届けていけたら」
里山の資源を生かして暮らし続けてきた五名。
2021年7月の時点では人口の13%にあたる38人が移住者です。
地域の産業である林業や農業を引き継ぎつつ新しい風を吹かせています。
「木を一本切ると、太いところはまきにして、中間のところはシイタケの原木として出荷をして、上の細いところは炭にするんですよ。この仕事が今も残っている。こういったことを、なくすことなくつなげていけたらいいなと。
それはイノシシの解体もそうですけど、この地域でやられていたことを変わらず続けていくことは大切だなと思いながらやっています。これで新しく人を呼び込むことができたらいいことですし、自分たちが入ることでさらにプラスアルファなにか表現できたらいいと思っています」
五名では春と秋に自然を感じることのできるハイキングを企画しています。
春にはわらびとり、秋には栗拾いが楽しめるそうです。