【瀬戸芸】野口真菜の瀬戸芸コラムpart2🎨高見島「過日の同居2022」
野口真菜です!
現在開催中の瀬戸内国際芸術祭 秋会期🍁
瀬戸芸に惚れて香川にやってきたアートマニア野口、
瀬戸芸の魅力をまだまだ語りたい!ということで
作品の魅力や取材のこぼれ話などをお届けできたらと思います🌟
アート巡りの参考にしていただけたらうれしいです!
\野口の🎨瀬戸芸の推し作品🖌/
「過日の同居2022」藤野裕美子さん作
木枠に貼った麻の紙をキャンバスに、日本画用の絵の具で描いた作品です。
前回2019年の瀬戸芸ではこの空き家の1階部分に展示をしていて、今回は1階に一部新作を加えて展示替えしたほか、新たに屋根裏部分にも新作を展示しています。
(9月30日の「いまココ!ナビ」でもご紹介しました。詳しくはこちらから)
\取材後記 印象的だったインタビュー✍️/
「通わせていただいて、行くたびに家の倒壊が進んでいたりして。今回行った中で、次来るときにはなくなっているかもしれないし、道も進めない状況になっているかもしれない。それぞれの家や中に残されているものに出会うのも最後かもしれないなと感じながら、じっくりそれぞれのモチーフに向き合って描きました。
パッと見るとこれが板持地区の何かは分からないかもしれないですが、私が見た現時点でのお家の中のものをこのときに残しておこうと思って、大切に描きました」
このお話を伺って、
空き家やそこに残されているものたちが持つメッセージの大きさを実感しました。
作家の藤野さんは作品制作にあたって、元島民の方の案内をもとに空き家の取材を続けてきたそうです。
1階の作品には、カーテンや日用品などが。屋根裏の作品には、戦時中の物品や書道の文字などが描かれています。
穏やかな生活、戦争に脅かされていたころの生活…
空き家を通して浮かび上がる
島にかつて存在したさまざまな時間軸が、
会場の”空き家(=またひとつの過去を持つ存在)”の中で交錯していく。
タイトルの通り、
この空間に多数の過ぎた日々が同居している作品だと感じます。
今私がこの場所で眺めている作品は、
目の前にある現在のものなのだけれど、同時に過去が描かれたものでもある…
不思議な時間の流れを感じつつ
空き家の空気に包まれながら眺めていると、
古い窓からすぅっと風が吹き込んできたときでしょうか、
それらの時間軸がふとひとつの”島の歴史”となって目の前に広がったような、心地良い”過日の同居”を感じる瞬間がありました。
島に存在していた人々の日常、営み、感情…確かにそこにあった島の歴史を感じ取ることができる作品。ぜひ多くの方に体感していただきたいです😌✨
ちなみに、日本画用の絵の具は少しザラザラしたような凹凸感があるそうで、近くで見るとキラキラしているんです😳
暗い屋根裏ではよりくっきりと鮮やかに、
自然光が差し込む1階では麻の紙が光に透けてやわらかく見えます。
同じ手法でも、こんなにさまざまな表情があるんだなぁと新発見でした😳
高見島へは、多度津港から船で25分ほど🚢
瀬戸内国際芸術祭 秋会期は11月6日までです🍁