REPORT

猛暑においしい郷土野菜 “三豊ナス”

三豊ナスは特別なナス。
丸くて大きい、甘い、それに、しなやかな繊維感が特徴です。

その昔、三豊出身の大平正芳氏が総理大臣になった時、丸い体つきが似ていることから、「大平ナス」と名付けて京阪神に売り込んだことがあったとか。昭和の時代から三豊地区で愛されてきたナスなのです。

3年前から三豊ナスを

三豊市財田町の図子さんが三豊ナスを始めたのは、同じ町内の「三豊ナス研究会」のメンバーに、熱心に誘われたから。勤めを辞めて専業農家になるタイミングで、畑の設計図まで書いてくれました。それまで米農家でしたが、夏の時期に三豊ナスを追加することになったのです。

図子さんのお宅では、妻の好子さんが料理上手で、いろんな三豊ナス料理が食卓に上るそう。定番は、三豊ナスの辛子漬け。意外なところでは、天ぷらがとてもおいしいそうです。

三豊ナス農家が増えない理由

よく見かける“千両なす”の方が、量産できてお金になるということで、三豊ナスを選ぶ人は、よほどの三豊ナス好きか、地元好き。
その上、7月・8月が旬ということは炎天下の作業。毎年続く猛暑を考えると、三豊ナス農家はよほど体力が必要です。

図子さんの畑は、整然とキレイなつくりをしています。
自作の潅水設備は、動力を使わず、高低差だけで、水が行き届きます。水は、下の用水路からポンプで汲み上げ、軽トラックで畑まで。この夏は雨が降らず500Lを一日4回も。

財田町の自然環境は?

図子さんのナスが美味しい理由には、手間だけでなく、自然環境があります。用水路の水は財田川から。その水が財田町が誇るお米の味も良くしています。そして盆地であること。今年も38度超えで、香川県内最高気温を記録。かといって、朝晩は涼しい。この寒暖差が野菜を甘くします。図子さんのナスを販売する八百屋sanukisさんによると、
「お客さんから図子さんの三豊ナスは味が濃いと言われます。水と肥料を切らさないので、皮が堅くなったり種が多くなったりがないんです」。

三豊ナスのきんちゃく型か丸型か論争について、「そら丸い方やと思うけど、いろいろにできるんや、これ見てん。」図子さんの畑でも両方の形が成っています。
ブランド化するには、形が統一されたほうがいいですよね。気になるところです。

おいしい食べ方

三豊ナスが県民に愛され、農家に選ばれるには、三豊ナスならではの食べ方を広めねばと、畑に行く八百屋sanukis 西森さんと八木さんのお店にやってきました。

good food studio CARDAMONのオーナー 八木さんに伺った三豊ナス料理をご紹介しましょう。ナスの甘さを前面に出した食べ方です。

ナムル・・・生で。塩、胡麻油、おろしニンニクでシンプルにいただくとナスが甘い。
ナスは切り目を入れて割くと味のなじみがよい。

揚げ焼き・・・フライパンに多めの油。碁盤の目に切り目を入れ、スプーンで油をまわしかけながら焼く。焼き過ぎないことがポイント。醤油やポン酢をかける予定があまりにおいしいので、そのまま食べました。

グラタン・・・三豊ナスにキノコの旨味が相性よし、キノコのデユクセルがかかっています。
三豊ナスは厚く切って料理すると、ビジュアルが生かせて食欲をそそります。 

sanukis 西森さんは、試食して、三豊ナスの新しい顔に出会った気がしたそうです。「三豊ナスを割くのにハマってます。手で割いて、半生くらいに軽く炒めて、醤油とナンプラー。おいしいですよ!」半生のナスってどんな味なんでしょう。すぐに試してみたいですね。   

来年も再来年も三豊ナス

味のあるナス、三豊ナス。
皮が薄いことは食味はいいのですが、傷がつきやすくて配送に向きません。
図子さんは夫婦流れ作業で、一つ一つ袋に入れていきます。
ヘタの部分の先端が細く尖っているので怪我をしないように。

猛暑の中でも丹念な作業を怠らず、「まだまだや、なかなか難しい!」とつぶやく図子さん。
真摯な姿勢で来年もおいしい三豊ナスを作ってくれそうです。
農家の仕事は、技術だけではなく、体力も気力も必要です。食べるだけの私たちは、お店を通じて、感謝と「おいしい」の声を農家に届けたいもの。
三豊ナスは連作ができず、来年は、今の畑の一段下、こちらの田んぼの跡に植える予定です。

真夏の畑仕事ですっかり日焼けした図子さんと料理名人の 好子さん

図子さんの三豊ナスは、きめ細やかな世話により、12月まで収穫できます。
畑にいく八百屋sanukisで販売していますので、お問合せください。
冬の三豊ナス、甘いそうですよ。

畑に行く八百屋 sanukis
[住 所] 香川県高松市今新町7−10
[電 話] 087-813-0883 
[営業時間]
 月曜~金曜…10時~18時半
 土曜   …10時~17時   ※日曜祝日定休

(レポート:SANUKI TABLE 国見 香須子)

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