2009年入社
報道クリエイティブユニット
伊藤 佑将
Ito Yusuke
報道クリエイティブユニット
一貫して報道部門に所属し、2020年から統括ニュースデスクを務める
「最終的に頼りにされる
存在でありたい」
「あの話、どうだった?」報道クリエイティブユニットの統括ニュースデスク、伊藤は記者に取材の進み具合を確認することが日課だ。
入社15年目。どのニュースをどんなタイミングで発信するか、そもそも取材するか否かのすべてを判断する役割を担っている。
「自分がブレていてはいけない。最終的に、頼りにされる存在でいなければならない。そう思っています」
伊藤は自分に言い聞かせるように話した。
ニュースはウェブでもよく読まれる。テレビ用とウェブ用で原稿を書き分けることも増えた。
そんな伊藤たちの主戦場が夕方のニュース番組「News Park KSB」だという。
伊藤は番組プロデューサーとして、45分という時間内に放送できるニュースを取捨選択し、取材記者と対話し指示を出す。
若手記者に自分から「あの話、どうだった?」と聞いてみるのは、伊藤流のコミュニケーション術。
「話しかけやすい上司でいよう」という心がけの表れでもあった。
伊藤は「デスクが、いつもピリピリして話しかけにくいのでは、大事な相談ができませんから」と笑って見せた。
ひとつの取材が終わると、伊藤が次に投げかけるセリフは「次は何がしたい?」
記者の数だけ発信したい内容があれば、「ニュースの幅が広がる」と考えている。
「記者が提案した企画案には、ノーとは言わず、基本的に採用しています」
ただ、「なぜ発信したいのか」「生活者にとってどんな意味があるのか」という対話は忘れない。
コロナ禍
「ニュース番組が
できないかもしれない」
伊藤は報道一筋でキャリアを積んだ。
岡山と香川の両県で警察と行政を担当し、取材の積み重ねで自信をつけた。
そんな伊藤にとって、2020年2月から猛威を振るったコロナ禍は、前例のない日々を送った初めての体験になった。
「過去の経験が仕事と自信の裏付けだったのに、その過去がない。
取材に対する考え方を変えざるを得ないハードな経験でした」と振り返った。
ニュースを取材しようにも、イベントが次々に中止される。仕事の予定が立たなかった。
「それなら、中止してどうなったか取材しては」「この情報を膨らませてみては」などと手探りでアイデアを出し合い、ニュースを発信し続けた。
「ニュース番組ができないかもしれないと真剣に心配しました」
乗り切ることができたのは、「関係者からとことん話を聞いてみる」という取材の基本に立ち返ったためだ。
コロナ禍の経験は、伊藤にとって自信になった。
大変だった過去を思い出し、「この時に乗り切れたんだから、今回もしんどくてもやれる」と奮い立たせるのが伊藤のスタイル。
コロナ禍では「考え方を変える」ことを学んだという。経験豊富な伊藤も学び続けている。
生活者とともにある
ニュースを追求
伊藤が「報道の主戦場」と呼ぶ「News Park KSB」は、2020年1月にスタート。
生活者の視点で、知りたい情報は何なのかを徹底して考えているのが特徴だ。
行政ニュースも「生活者にとってはどんな影響があるのか」という視点を意識する。
番組独自のアンケートを取っており、視聴者の感想に耳を澄ませる。
「記者の提案は大切にしながら、視聴者の『知りたい』にどのように応えるかがデスクとしての手腕です。例えば、最近の物価高騰。
発信者側の発想では、『この前取り上げたから取材しない』となりがちですが、視聴者の関心はとても高いんです。切り口を変えて積極的に報道しています」
瀬戸内海放送の経営理念である「善いことの『ちから』に」というコンセプトについて聞くと、伊藤はニュースを生活者視点で発信することと関連付けていた。
柔らかい話題から社会問題まで、「見てよかった」「役に立った」という視聴者の感想が、善いことの「ちから」になるとイメージを描く。
記者の思いを
大切にしたい
数字で示される視聴率や視聴者からのアンケートの声、取材した記者の思い。
1本の記事に、さまざまな要素が交差しながらニュースが発信されていく。
伊藤はどこに重心を置いているのだろうか。尋ねると、しばらく考えてこう答えた。
「最後は記者の思いを大切にしたいです」
「生活者にとって価値がある情報であることが前提ですが、記者によって得意分野・興味関心がある分野が違うので、その記者が取材したいネタを扱うことでよりよいニュースを発信できると思うし、みんなが高いモチベーションで仕事ができると思うので」
統括ニュースデスクとして記者をマネジメントしながらNews Park KSBをMakeしていく。
それが伊藤のMakersとしてのスタイルだ。