2021年10月20日、おかやま100人カイギが4か月ぶりに開催されました。16回目を迎えた今回も、YouTube配信でのオンライン形式を取り、多くのみなさんにご視聴いただきました。
それでは5人のゲストによる白熱したトーク内容のレポートです!
【オカリーナの可能性に挑戦!】軽部りつこさん
最初の登壇者は、軽部りつこさんです。
軽部さんは音楽系短大に在学中、自身のフルート演奏者としての姿と、音楽と同じほど好きだった「ものづくり」を追及し、オカリナ制作に出会います。
イタリア発祥のオカリナは、「オカリーナ」との発音に近いことから、軽部さんは「オカリーナ」にこだわります。陶芸経験ゼロの状態から「オカリーナ工房 律」を立ち上げ、オカリナ制作販売、教室、演奏販売を始めました。
楽器の演奏経験がなくても、気軽に音楽が楽しめるオカリナ。優しい音色が特徴で、穴が少なく演奏もしやすいこともあり、一時は岡山県内の門下生が約300人を超えるほどの盛況ぶり。軽部さんも日本全国で演奏会を行うなど、多忙な日々を過ごしていました。
しかし、2020年の新型コロナウィルス感染拡大のため、全ての活動がストップ。軽部さんが「何かできないだろうか」と思案していたところ、おかやま観光コンベンション協会から相談を受け、新しいオカリナを発明するに至ります。それが、岡山特産の白桃そっくりのオカリナ「OKAYAMAもも笛」でした。
軽部さんの「OKAYAMAもも笛」は、一見本物の桃と見間違うほどのリアリティを持っています。テレビやメディアで数多くとりあげられ、全国でも注目を浴びるほど大人気に。今は桃だけでなく、様々なフルーツを模ったオカリナを制作し、バリエーションを増やしています。
「日本で有名な『桃太郎』のストーリーと歌を『もも笛』という体験としてお土産にできるんです。演奏する人が岡山のPRにも参加できる魅力もありますね」
軽部さんは「オカリーナで音楽を楽しむこと」を掲げ、人と人を「音楽」で繋ぐのが夢。もも笛で奏でられる『桃太郎』の優しい音色が、スタジオに響き渡りました。
■軽部りつこさんのサイトはこちら
https://ocarina-rit.info/
【いろいろなスタートのパートナー】山田邦明さん
2人目は、山田邦明さんです。法律事務所で弁護士を経験後、起業家スクールを立ち上げたり、岡山市とスタートアップ拠点の運営を行うなど、地域に資する業務を中心的に行っています。
今回は、携わっている教育事業を中心にトークを展開。
「『学校に行かないと幸せになれないのかな?』と尋ねてきた子に対して、何もできなかったんです。だから、作りました」と、子どもの可能性を信じるプロジェクトとして、地方教育メディア「無花果(いちぢく)」を立ち上げました。
子どもたちの“最初の居場所”として、フリースクールもえぎを設立。その後、子どもたちの選択肢を減らしたくないと考え、個別指導の塾や、地方出身者によるオンライン家庭教師を展開しています。
山田さんは「目の前にいる子の笑顔」のために、できることをやろうと心掛けています。原点となるのは、自身の子ども時代に受けたいじめの傷。その時に支えてくれた友人たちのおかげで、友情を再び信じられるようになり、様々なことへ挑戦する原動力となったと言います。
現在、コロナ禍のために制限がかかり、子どもたちが本来ならばできていた体験や経験すらできなくなる場面も増えています。しかし「コロナ禍だからできることを、大人たちが子どもたちのために探したい」と強く思い、活動を続けています。
「笑顔になれなかった子が、笑顔になれる幸せ」の傍に。子どもたちの未来のために、山田さんは「様々な方の力をお借りしたい。ワークショップや演奏会、情報共有など、ぜひ連絡をください」と熱く語りました。
■山田邦明さんが関わる地方教育メディア「無花果」のサイトはこちら
https://1ziku.jp/
【顔の見える福祉で地域活性化】岩田成矢さん
3人目は、岩田成矢さんです。2021年、医療福祉業界で働く人たちが、現場で活躍しながら学びを得られる動画サイト「アメポケ」を運営開始。研修のプラットフォームともなる本サイトは、医療や介護、リハビリ、接遇やセルフケアなど、内容は多岐に渡り、岡山を中心に活躍する70名以上の講師が登場。現在、約460本もの動画が無料で公開されています。
「医療福祉とは人に喜んでもらえる、いい仕事。この業界は楽しいんです」と語る岩田さん。この業界で働き始めると勉強が非常に大切になりますが、働きながら学ぶというのは大変なこと。時間や機会の確保がなくお金がかかるという問題を、個人も法人も共に抱えていた点に岩田さんは注目し「アメポケ」の運営に繋げました。地域の人たちが受けるサービス力の向上にも繋がると信じ、顔の見える関係づくりを目標として、医療福祉業界の向上に日々奮闘しています。
岩田さんは大学で福祉を学びましたが、当時はまだ福祉業界に対して漠然としたイメージしかありませんでした。「やりたいことはまだはっきりしていないけれど、接遇はきっと大切だ」と感じ、ホスピタリティを学ぼうとリッツカールトン大阪のバーテンダーを経験し、その後、広告代理店など経験後、福祉の道へ。
2017年、株式会社アークリードを設立し、福祉用具レンタル品などの物のサービスを始めますが、その後株式会社ピースアークと共に、在宅医療福祉事業を展開。人と物の両輪が伴ったサービス展開を行ったことが「アメポケ」の運営へと繋がったのです。
「学校卒業後すぐは、明確な目標を持っていませんでした。けれど、やってきたこと全てが今役に立っています。全てに価値があるんです」と語る岩田さん。挑戦を続けていくことが成功につながると信じ、これまでの経験を生かしてメッセージを発信します。
「過去は、今の自分が価値を作るんです。だから諦めないで!」
■岩田成矢さんが運営する情報動画サイト「アメポケ」はこちら
https://amepocke.jp/
【岡山の学生を世界へ】橋ヶ谷多功さん
4人目は、橋ヶ谷多功さんです。
開口一番「中学生の頃まで、全ての評価が学力のみで行われる学校が好きではありませんでした」と語ります。しかし橋ヶ谷さんの意識を変え、やりたいことにチャレンジさせてくれた学校が、自身の母校であり現勤務先でもある岡山学芸館高校でした。
「学校は楽しい場所。自分と同じような生徒を作ってはいけない」と学生時代に思ったと言います。
橋ヶ谷さんは大学で環境社会学を専攻。特に途上国の貧困問題に興味を持ち、環境と開発に関する学びを深めました。
岡山学芸館高校に着任してから「経験や感情」を重視した海外研修の引率を継続的に行っています。
その1つ、カンボジアフィールドワークでは、学生たちが主体的に関わる仕組みを構築。「交流・調査・実践・振り返り」を通じて、学生たちが自分の力で興味や関心を深掘りしたり、感覚的に他者を理解したり、様々な見方や立場を学べるようになっています。
フィールドワークにおいて学生たちは、現地活動家の生の声を聞きに行ったり、水質調査を実施したり、ゴミ拾いを行ったりしてきました。活動を振り返るディスカッションも欠かさず、ヒアリングシートにはたくさんの文字と思いが。自分の言葉でまとめるという作業の発生も「経験や感情」を重視する橋ヶ谷さんの経験から出たものでした。
橋ヶ谷さんは「常に変化をし続けること」をモットーに、毎年カリキュラムの改定を行っています。
文部科学省SGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)への指定を契機に、PBL(Project Based Learning)型課題研究プログラムの開発に着手。現代社会において「生徒も教員も“変化”していかなくてはならない」と橋ヶ谷さんは語ります。
学生1人1人が自身の興味や行動に対して一生懸命になるためには、学校側が様々な学生がいることにフォーカスし、環境を整備しなくてはいけないと言及。そのためには、まず志を持った大人たちが率先すべきだと、教員の変化の必要性も説いていました。
■橋ヶ谷多功さんが勤める岡山学芸館高等学校のサイトはこちら
http://www.gakugeikan.ed.jp/
【社会と仲間のために立ち向かう】梶田篤さん
5人目は、梶田篤さんです。
高校生の時に文化祭でチームリーダーを経験した際「1つの目標に対してチームを組んで取り組む楽しさ」に気づき、イベント制作会社へ就職しました。日々スキルを磨く中、音響や照明といった専門技術知識の不足という壁に当たります。形にできない悔しさをばねに、スキルアップを目指して舞台技術会社へ転職。「イベントで多くの人たちの笑顔を作りたい」をモットーに、イベント業界での経験を積んできました。
転機はユメリアルグループ代表との出会い。「希望を見せてくれる」代表の人間性に惚れ込み、「この人の元で働きたい、役に立ちたい」と強く思い、ユメリアルグループへ入社。美容やアパレル、環境緑化など多岐にわたる事業部を経験し、統括を担い、その後芸能音楽事業部を立ち上げました。
西日本豪雨災害が発生した時はボランティアにも取り組み、「現場の声が大切なことは、様々なことに通じる」と気づきます。また、新型コロナウイルス感染拡大のため頭を抱え込んでしまうようなことも起きましたが「この状況下でできることは何だろう」と考え、オンライン配信というキーワードを核に、事業を展開していきました。
好きな言葉は「宿命に耐え、運命と戯れ、使命に生きる」。これまでの経験を振り返っても「全てに起点があり、それを運命と考え“戯れ”ます。悩むのではなく、どう考えていくか。それが次の起点となり、繋がると、新しいものが見えてくるんです」
人との出会いを大切にし、興味を原動力とし、立ち向かい続ける梶田さん。これからも様々なチャレンジに取り組む姿勢です。
■梶田篤さんが勤めるユメリアルグループのサイトはこちら
https://yumerial.com/
5人の登壇者の多岐に渡る活動の発表は、ためになると同時に、それぞれの“軸”を感じさせらるものとなりました。岡山で活動するということ、岡山にいるからこそできることにも、それぞれの思いや考え方が伝わります。キーワードとして挙がった「人、繋がり、楽しさ、笑顔」。16回目のおかやま100人カイギは「大切なのは『人』」と感じられる回となりました。
次回vol.17は、11月17日(水)オンラインで配信します!
ゲストの詳細は、決まりましたらFacebook、Twitterでご案内します。