【ごあいさつ】
2020年最初のおかやま100人カイギを、先日1月16日(木)に開催しました。
おかやま100人カイギには、普段の仕事ではなかなか知り合えない方や、地域の異なる方、大学生や高校生など、様々な人が集まってくださいます。
アイスブレイクでは、そんな参加者の皆さんが一気に打ち解け、名刺交換をしている様子を多く見かけます。このおかやま100人カイギが、地域に新しい動きが起こるきっかけとなる素敵な場になっていれば幸いです。
参加者の皆さん同士で自己紹介をした後、本日登壇する5名のゲストをご紹介。
【おまちかねのゲストトーク】
トップバッターは、長く勤めた出版社を退職し、岡山へUターンして3年目、“薬膳ハーブティーマスター”として、コテッジ・チョコ・パンナという薬膳ハーブティーの専門店を営む藤原祥子(ふじわら さちこ)さん。
この仕事を始めようと思ったきっかけは、藤原さんを助けてくれた「漢方」の世界にあるといいます。何度も肺気腫に悩まされていた藤原さん、退院した後も息苦しくしんどい状態が続いていたそうですが、漢方の一種であるカッピングでカウンセリングを受けて楽になったご経験から、漢方に興味が生まれ勉強を始めたそうです。
メインのサービスは、「あなただけの薬膳ハーブティー」
漢方薬膳をベースにしたカウンセリングで、今身体に必要なハーブを組み合わせ、崩れているバランスをニュートラルに整えるお茶をブレンド。薬膳は苦いというイメージがあるため、「おいしい薬膳」を目指していらっしゃいます。
そんな藤原さんの将来の夢は、漢方薬膳で自分の体調をコントロールできる人が、世の中にどんどん増えること。「あなたの身体の声を聴いてあげてください。必要な一杯を飲んでみてほしい。」
藤原さんの朗らかな雰囲気に、会場一同惹き込まれている様子でした。
続いては、“どうしように応えたい不動産屋さん”
菱善地所(りょうぜんじしょ)の宮井宏(みやい ひろし)さんです。
25歳で“たまたま”不動産屋になったと振り返る宮井さん。どんな人も土地の上、建物の中で生活を営んでいる。不動産の権利関係を整えて、資産と生活の安定を支えることは、町を作り、育て、守ること。様々な仕事をしていく中で、不動産業は、土地や建物を扱う「社会インフラ」だと気が付いたとおっしゃいます。
もともと陶芸に興味があったのもあり関わるようになった、フィールドオブクラフト倉敷の実行委員長も5年目。そこで建築士と出会ったのをきっかけに、日本の建物は経済合理性だけで建てられているものが多いく、景観に配慮されていないことに気が付き、「街をきれいにするような、きちんと住む人のことを考えた賃貸物件を供給したい!」と、メゾネットタイプやスキップフロアの賃貸住宅など、住む人にとって“価値”のある住宅を供給したいと奮闘されていらっしゃいます。
これまでを振り返り、「おもしろい」という自分の感性を大切にするのが一番良いとのこと。
「人生は、運と縁のハーモニー。“夢”とか“したいこと”は、分からないのが普通。
好きなこと、しっくりくることに引き寄せられながら、流れにあらがわず、縁を大切に、目の前の自分のできることを、とりあえず頑張ってやってみる」
それが、楽しい人生に繋がるとご自身の経験を元に語ってくださいました。
前半最後は、岡山市内に「児童発達支援 放課後等デイサービス ワルツ」を立ち上げ、自閉スペクトラム症の子ども達のサポートを行っている勢村真理(せむら まり)さんです。
学生時代は幼稚園教諭を目指していた勢村さん。保育士の資格要件のために障害者施設で実習を受けたのをきっかけに、「この出会いを実習だけで終わらせるのはもったいない!」と働くことを決めたそうです。
気が付けば18年、次に何がしたいとう事でもないけど、とにかくゆっくり休みたいと職場を退職したものの、1週間の休暇でリフレッシュした後、「やったことないことをやってみよう」と、岡山県内の支援学校で就労支援コーディネーターに。そこで、幼少期の支援が大切だと身に染みて感じたと言います。
そして、岡山市での事業所開設の需要を感じたため、高梁市の事業所に修行へ。「児童発達支援 放課後等デイサービス ワルツ」の立ち上げへと繋がります。
「ワルツ」という名前には、当事者である児童だけではなく、家族、働く人…みんな一緒にハッピーになりたい、という三方よしの考え方を取り入れているといいます。
勢村さんの願いは、自閉スペクトラム症のお子さんが、豊かな人生を歩むこと。
そのために、その子達の捉え方・考え方を知りたいし、その子達にも様々な考え方を知ってほしい、お互いの架け橋になりたいと語られます。目の前にいる人たちが、少しでもハッピーな“三方よし”の生活ができるように、多様性が認められる社会になっていくことを期待して、自分にできることを一つ一つ取り組んでいきたいと決意を述べられていました。
休憩をはさんでゲストトーク後半。
ダイヤ工業株式会社 開発部門 アドバンスドエンジニアの小川和徳(おがわ かずのり)さんです。
ダイヤ工業は、もともと軽度の運動器疾患の方対象のサポーターを製造販売している会社でした。重度の運動器疾患者からも多くのニーズがあったため、ダイヤ工業がもともと持っているモノづくり技術と、岡山大学で研究されていた軽量・柔軟な空気圧人工筋肉を組み合わせ、10年ほど前から、パワーアシストウェアの共同研究を始めたそうです。
小川さんが「岡山イノベーションコンテスト2019」でグランプリを受賞されたのは、電源不要で軽量柔軟な動作支援装置“アンプラグドパワードスーツ”。
従来のパワードスーツは、電動ポンプやバッテリーがあるため重く、高価…といった理由からあまり普及していなかったとか。小川さんは、空気の出し入れで人工筋肉を伸縮させる技術(国際特許出願中!)や、装着者の体重を利用して圧力を貯める技術で無電源化に成功し、構造全体で1.5kg程度の、バッテリーを使用していないので充電不要の新しいパワードスーツを開発されました!
肉体労働の問題点を改善することで、労働安全、生産性向上はもちろん、力のない女性や運動疾患のある方も、“自分が働きたい現場”で働くことができる世の中が実現する。そして電源が必要としないこのスーツは、災害復旧現場でも生かせるのではと考えているそうです。
小川さんにとって、パワーアシストウェアの最終目標は、AIを使って装着者の状態を判断し、自動で適切な支援を行うこと。車いすの無い世界、この“服”を着ると自分で歩けるようになる世界の実現を目指していると目を輝かせながら語っていただきました。
最後は、瀬戸内国際芸術祭の舞台になっている人口約800人のアートと食の島、豊島(てしま)で、レストラン、宿泊施設、ウェディングなどの事業を展開しているC・H・C株式会社サークルハウスコーポレーション 経営企画の熊井麻千子(くまい ちまこ)さんです。
大学卒業後、金融機関で働いていた熊井さん。退職後、講師やキャリアカウンセリングの仕事をしている際に、現在のオーナーと共通の知人から「本物のアートと食に興味ある?」とのお誘いを受けたといいます。「自然豊かな豊島の景観を守りたい」という想いに共感して、去年玉野に移住。毎日船で豊島に通われているそうです。
様々な事業を展開する上で、島での働き手を探すのは一苦労なのだとか。3年に1度の芸術祭の年は大変な忙しさだけれど、そうではない年との緩急の差が大きかったりする。それでも、大切な豊島を守るため、これからもずっと経営を続けていくために、社会に貢献できることをやりたいと熊井さんは言います。
この10年、豊島で一貫して続けていることは、質の良い“食”を提供していること。
食べる人、料理人、生産者の方、サービスをする方、たくさんの人が関わる食の世界において、“食を担う人”にフォーカスした新たな団体を立ち上げ、これから10年~20年をかけて、食を通して豊かな社会を、持続可能な社会を実現できるように邁進していきたいと語ります。
「豊島、岡山からどんなことができるか、仲間と、日本中の方と一緒に、奔走しながら世界へ発信していきたい。面白いことをしているなぁと注目し続けていただけるような会社であり続けたいと思うので、これからも注目してください!」と力強く宣言していらっしゃいました。
【さらに盛り上がったネットワーキングタイム】
ゲストトークの後は、5つのグループに分かれてネットワーキング。
ゲストが順番に輪に入り、名刺交換をしたり参加者からの熱心な質問に丁寧に答えたりしていらっしゃいました。話が盛り上がり、名残惜しい様子で次のグループに移動する様子も見られました。
「おかやま100人カイギ」は、登壇していただいたトークゲストが100人に達するまで毎月開催していきます。
次回は、2020年2月13日(木)19時スタート。
備前和紙職人や、岡山市ESD推進課のコーディネーター、おかやま山陽高校の硬式野球部監督など、なかなか出会えないゲストが集まります!お申込はこちらから!
ご参加お待ちしています。
レポート:おかやま100人カイギ事務局・岡田彩