【レポート】3月15日開催 おかやま100人カイギvol.20

2022年3月15日に開催された「おかやま100人カイギ」。

登壇者100組を迎え、今回でフィナーレとなります。瀬戸内海放送岡山本社内のスタジオで繰り広げられた熱いトーク。YouTubeLiveで全国配信された内容は、多くの方々に見ていただきました。

「おかやま100人カイギ」のテーマは「新しい発見がひとつでもあること」
そして「私も何かやってみたいと思えること」です。さぁ、5人のゲストによる白熱したトークのレポート、フィナーレです!


【クリエイティブの力で、岡山を元気にする!】佐藤 豪人さん

佐藤豪人さんは、日本グラフィックデザイン協会の岡山地区代表であり、2011年にHIDETO SATO DESIGNを設立。クリエイティブディレクター・アートディレクターとして、グラフィック、Web、サインや空間などのデザイン戦略に携わっています。またクリエイティブコンサルタントとしてデザインやブランドの戦略を練り、県内外に多数の実績を重ねています。

活動の原点となる志は「岡山にデザイン文化を」。クリエイティブの力で岡山を元気にしようと日々奔走中です。
「コミュニケーションを考えることは大切です。環境や地域と、人との関わりをシンプルに紐解くことが、デザインにはできるのではないでしょうか」

デザインとは、こんなことあればいいなと妄想したり空想したりする『構想』だと、佐藤さんは語ります。そしてこの『構想』を大切にし、「考えや情報をイメージとして可視化し、ビジョンや思いを視覚言語へと翻訳すること」これがコミュニケーションデザインの本質であるというのです。

佐藤さんの理念は「ヒト・モノ・コトを、ポジティブに、デザインで結ぶ」。情報過多の時代だからこそ、デザインの持つ力が求められています。
「デザインは、日常にあるもの。もっと身近にあるデザインを感じてもらいつつ、さらに『デザインって何?』とみんなと共に話し合いながら成長したいです」

佐藤さんのHIDETO SATO DESIGN
https://hidetosato.com


【パンツから世界平和!】枡野 恵也さん

「子どもの頃からの夢が“世界平和”」
枡野恵也さんは国連に憧れて東京大学法学部に入り、さらにマッキンゼーに入社。ベンチャー企業参画を経て、2015年よりメンズパンツを扱う株式会社TOOT代表取締役社長となりました。

「パンツに惚れ込んだんです」
枡野さんは「パンツから世界平和」を掲げ、まず「人の覚醒」を促します。TOOTのパンツは、画期的なデザインと履き心地、そして情熱的なものづくりによって作られているのが魅力。毎週新作が登場し、さらにカラーバリエーションも豊富。ミラノコレクションにも参加します。
「TOOTのパンツを履くと自信が持てるし、きっと楽しい世の中になると信じています」

世界を行ったり来たりする中で、「ラグジュアリーはローカルに繋がっている」と確信を持つように。また「教育の覚醒」として娘の進学のために倉敷市へ移住し、英数学館の国際バカロレア教育広報なども手掛けます。さらに「地域の覚醒」として、児島デニム「ETERNAL」の事業再生や電力の地産地消に取り組んだり、イノベーションを地元で起こすフォーラムも実施。
こうした「人・教育・地域」の覚醒は、世界平和へと繋がるはずと信じ「人が人であるために、地域との繋がりは大切」だと確信を持って、枡野さんは日々活動しています。
「あなたらしさとは何かを追求してグローバルを目指せば目指すほど、ローカルになります。ローカルには歴史があり、そこにかえっていくんです」

株式会社TOOTのオフィシャルサイト
https://www.toot.jp/ja_JP/home


【映画やドラマと岡山をつなぎ続ける】妹尾 真由子さん

『とんび』や『カムカムエヴリバディ』『名も無き世界のエンドロール』など、多くの映画やドラマのロケ地に選ばれ、制作者の間でも話題になっている岡山県。岡山県フィルムコミッション協議会に所属する妹尾真由子さんは、役場職員を経て、岡山県初のフィルムコミッション専任職員に。映画やドラマ、TV番組、CMなどの映像作品を制作する映像制作会社と、地域関係者の間に立ち、誘致はもちろん、撮影が円滑に行われるための支援、映像を通じたプロモーションを担っています。

仕事は、制作会社からの問い合わせ対応から、情報の提供、ロケハンの同行や手配、作品を活用したプロモーションと多岐に渡ります。
「心掛けているのは、第一印象。どうやったらできるのか、一緒になって考えています」
また「ロケの街・岡山県」を目指して、受け入れ体制・誘致の強化、岡山県の認知度アップに力を注ぎ、全国的にも珍しい制作会社向けの助成金を準備。ロケ地誘致は、作品をきっかけに地域の魅力発信や再確認になると、事業に邁進する妹尾さんですが、JFCアウォードを2回も受賞するなど高い評価を得ています。
「地元が協力的なことも、評価に繋がっています。だから自信を持って『岡山に来てください!』と言えるんです。野望は、岡山ハレウッドです!」

岡山県フィルムコミッション協議会
https://www.okayama-kanko.jp/fc/


【学校と地域を繋ぐため動き続ける教育者】室 貴由輝さん

岡山県教育庁で高校魅力化推進室室長を務める、室(むろ)貴由輝さん。矢掛町で教師をしていた時に、矢掛高校の学校設定教科「環境」を設置することが、様々な繋がりのきっかけになりました。その始まりは“橋の上”。体育授業の一環で学校の外に出かけた際、橋の上から本物の魚が泳いでいる光景を見た子ども達が、印象的でした。
「魚が泳いでいる姿を見た子ども達は、目をキラキラと輝かせていました。その時『生徒に本物を見せることが大切だ』と感じたんです」
そうして誕生した専門性の強い教科「環境」設置を経て、室さんは、地域との体験や繋がりを重視し発展させた「やかげ学」を生み出します。「やかげ学」とは、学校と地域をつなぐ新しい地域学。そして子ども達が教員以外の大人と関わり、仕事を任されることから達成感を得て、自分達がやりたいことを実現できるという教科です。

さらに小中高という異年齢の世代間が連携し、さらに地域と連携を推進する「やかげ小中高こども連合(YKG60)」を設立。子ども達が自らやりたいことを実施し、大人がレールを敷くことのない場を生み、地域活動を支援してきました。
「地域の過疎化が進む今、学校がなくなると、人が住みづらくなってしまいます。この『やかげ学』『やかげ小中高こども連合(YKG60)』の挑戦を参考にして、全国のモデルケースにしてもらえたらと思います」

岡山県教育委員会
https://www.pref.okayama.jp/site/16/


【200を超えるプロジェクトを支援してきたCivil Engineer】石田 篤史さん

「おかやま100人カイギ」が発足するきっかけをKSB瀬戸内海放送にくれた石田篤史さんは、元・岡山県の技術公務員。土木技術者として入職し、公共工事のIT化などに取り組んで来ました。今は「土木建築の技術で、身近な人に安心とワクワクを」とテーマにして、株式会社イシダ工務店を営んでいます。
さらに(公財)みんなでつくる財団おかやま(通称みんつく)初代代表理事。様々なプロジェクトの立ち上げ、企画の支援を行っています。
石田さんは2012年3月に公務員を退職した後、中四国初の市民コミュニティ財団「みんなでつくる財団おかやま」を設立。「つなぐ、つたえる、シェアをする」をキーワードに、広く多くの人に知ってもらいながら資金を集め、「みんなの何とかしたいをカタチにする」ことを目的としたこの財団は、100人もの若者の呼び掛けに対し、市民530人の寄付によってできた地域版クラウドファンディング。9年間で約1億3千万円の寄付を集め、200を超えるプロジェクトに助成してきました。西日本豪雨災害での被災地支援のための「ももたろう基金」もそのひとつです。

「『みんつく』は、思いの繋がるインフラなんです」
石田さんが大事にしているのは「やりたいことは早くやる」。早く着手することで、やる・やらないの判断がスピーディーになるというのです。
そして「誰かが既にやっていたら、その人を応援する」ことです。
「世界や僕たちが暮らす街に、やりたいことがいっぱいあふれて欲しい。その際、誰かが既にやっていたとしたら、その人を応援したい。そうした方が、自分がやりたい別のことができるんです」
同じ思いの人たちが集まった方が、思いは早く叶うと、石田さんは信じています。
また一方で座右の銘は「うまい酒を飲もう」。ベストを尽くし、仲間を信頼し、力を活かして達成感を味わう酒は、美酒に違いありません。

(公財)みんなでつくる財団おかやま
http://mintuku.jp


20回目を迎えた今回のおかやま100人カイギでも、「岡山が好き!」という人が集まり、白熱したトークが展開されました。そして登壇者がそれぞれ大切にしているものは、一貫して「人と人の繋がり、地域との繋がり」だと、強く浮かび上がりました。登壇者の笑顔や自信に満ちた表情、そして好奇心に溢れたトークは、最後まで魅力的なものでした。

おかやま100人カイギは今回でフィナーレを迎えます。コロナ禍のために直接の交流を再開することができませんでしたが、「オンラインだからこそできることもあるはず」と信じ、完走を目指してきました。

しかし、これで終わりではありません!

春以降に始まる新しい展開を、ぜひ楽しみにしていただきたいと、スタッフ一同願っています。これまでの繋がりがどう発展していくのか、4月上旬にFacebookやTwitterで発表します。
どうぞお楽しみに!

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