2021年11月17日、おかやま100人カイギが開催されました。KSB岡山本社内のスタジオで繰り広げられたトークは、YouTubeLiveで全国配信。多くの人々にご視聴いただきました。
テーマは「新しい発見がひとつでもあること」そして「私も何かやってみたいと思えること」。5人のトークからそれぞれの分野が違っていても、思いは繋がっていることが伝わりました。「人の繋がり、笑顔、ぬくもり」がキーワードとなり、さらに岡山の魅力も数多く浮かび上がってきました。
それでは5人のゲストによる、白熱したトーク内容のレポートをお届けします。
【こと・もの・みらいをデザインする建築家】和田 優輝さん
「デザインは生活と共にある」。
建築家・和田優輝さんが大切にする言葉です。
東京生まれの和田さんは、ビルやマンションを作る設計事務所で勤めていました。30歳の時に「自分の世界観で表現したい」と思い、妻の実家がある岡山県津山市への移住を”2秒”で決断。「親しみやすく、景色や自然が素晴らしい」という津山を拠点に、現在は家のデザインからまちのデザインまで、幅広いプロジェクトに関わっています。
転機は、古い建物の再活用。リフォームという形で様々な“思いを繋ぐ”ことが、岡山での仕事にもなっていきました。
「上から見るのではなく、中に入ってみると、多様な世界が広がっていることに気が付いたんです」
大切にしているのは「ことづくり」。耕作放棄地に人が集まって本の読み聞かせをする図書館のような場所や、廃校をリノベーションした複合施設・ナップビレッジを手掛けたりしています。多様な声を聞き、建物の歴史や思いをしたためて次のストーリーを生み出す。和田さんは「たくさんの人たちの夢を預かって形にし、未来に向かって動く整理整頓役」として活動し、デザインの力を全世界へと発信しています。
和田優輝さんの事務所のサイト
http://slow-home.jp/
【子育てのテーマパークを目指して!】ボウズ満恵さん
「子育ての理想は“自分で育つ”」
これが、ボウズ満恵さんの理想です。
ボウズさんは2つの子育て支援団体「サンサポートオカヤマ」「NPO法人ハレハハ」の代表を務め、PTA会長の仕事もこなしています。
サンサポートオカヤマでは、県内の各地で被災した子育て中の家族を支援。また熊本県の被災地支援団体をオンラインで支援する活動も行っています。またNPO法人ハレハハでは、小中学生向けのオンライン学習支援を行い、先生役として大学生を抜擢。コロナ禍で大変だった大学生にアルバイトで入ってもらうなど、工夫を重ねた支援を行っています。
幅広く精力的に活動するボウズさんですが、その原点は自身の経験。両親に離婚のために家庭で落ち着くことが出来ず、友人の死で命について深く考えます。また国際結婚によって誕生した子どもの育児に関しても「自信が持てなかった」そう。
しかし40歳の時に「私が子どもの時にしてほしかったことをしよう、育ち直しをしよう!」と決め、理想となる「子育ての理想は“自分で育つ”」に行きついたと言います。
「私の存在自体が、子育てのテーマパークのようになればいいんです」
自身の体験をさらけ出すことで、心を開いてもらえたらと願うボウズさん。「子育ての多様化に伴い、小さなニーズに1つ1つ丁寧に答えていきたい」と語りました。
NPO法人ハレハハのサイトはこちら
https://peraichi.com/landing_pages/view/harehaha
【フリースタイルフットボール・パフォーマー】GENさん
「フリースタイルに生きる」。
これがフリースタイルフットボール・パフォーマー、GENさんの生き方です。
フリースタイルフットボールとは、サッカーボールと音楽とダンスが融合したアーバンスポーツ。サッカーのリフティングやドリブルなどの技術から誕生した、魅せるパフォーマンスです。年齢や性別などの制限が一切なく、「サッカーボールを使って楽しいことをやろう!」がテーマです。フリースタイルフットボール・パフォーマーとして活躍するGENさんは、2019年の世界大会でベスト16、日本大会でベスト4位の実績。現在は中四国初のリフティングスクールを開校し、フリースタイルフットボールの普及に努めています。
スタジオでは、リズムよい音楽と手拍子に合わせて技の数々を披露。スタジオにいた人たち皆が、夢中になった瞬間でもありました。
GENさんは愛媛県宇和島出身。小中高とサッカー漬けの毎日を送っていました。高校生の時、フリースタイルフットボールの世界チャンピオンのパフォーマンスを見たことに衝撃を受けました。
「かっこいい!ボール1つで、こんなにも人を感動させられるんだ!」
自身も「かっこよくなりたい」と思い、フリースタイルフットボールに一生を捧げようと心に決めたそう。自分だけの表現ができるので、達成感が大きいと魅力を語ります。練習や大会を重ね、世代や地域・国を超えて友達もたくさんできました。また表町商店街を利用した大会を開催し、地域に貢献。それはGENさん自身の新しい発見につながったそう。
「サッカーにとらわれない。形は色々あって、自由なんです」
GENさんのメッセージは、フリースタイルフットボールのパフォーマンスとして昇華しています。
GENさんの公式サイトはこちら
https://freestyle-geniwafuji.webnode.jp/
【多様な人々が活躍できる環境づくり推進中】大森 達郎さん
「場所によって、経験やスキルの価値が変わるんだ。それは生き方としての選択肢が、増えることに繋がるんだ」
学生時代で何気なく行ったニュージーランド留学で、現地の子どもたちに剣道を教えたことがきっかけとなり「それまでの考え方や行動が変わった」と語る大森達郎さん。さらに在学中に中国の遼寧省でイベント出店するなど様々な経験をすることで、外国人人材との協働に大きな価値を感じました。
一度目の起業と会社員としての就職を経て、大森さんは2019年末、「TRIJIN(トライジン)」を2度目の起業で立ち上げます。古代、大陸から日本に移住し、技術や道具や知識などを日本にもたらした「渡来人」の言葉と歴史的背景を重ねています。
大森さんはコロナ禍において海外36か国と繋がるネットワークを構築し、海外人材雇用を推し進め、より良い社会になるようにと、TRIJINでの活動を進めています。
その1つが、海外の大学と契約をし、日本の企業内でインターンシップを行うというもの。大学の正規の課外学習プログラムとして取り入れてもらい、学生の単位取得にも連動するように工夫しています。日本を含めた世界900以上の大学とのネットワークを生かし、産学官が一緒になって取り組みを行っています。
コロナ禍のため事業が進みにくいという難点もありますが、企画・プロモーション事業や翻訳などを行っています。自身が「渡来人」となって得た気づきを元に、多くの「渡来人」の活躍する場を推進中。地域に海外人材を増やすための土壌づくりに力を入れています。
大森 達郎さんのfacebookページはこちら
https://www.facebook.com/tatsuro.omori.5
【介護の経験をハッピーに発信!ラフィングケアラー】冠野 真弓さん
「今すぐ幸せになる方法があります!」
元気いっぱい笑顔で話すのは、看護師16年目の冠野真弓さんです。
冠野さんは9歳から家族の病気のケアをしている、元ヤングケアラーかつ現役ケアラー。かつて、両親や姉の持つ病気を誰にも話せない時代がありました。しかし同じ境遇の人と繋がったり、仲間との出会いがあったり、さらに自分の強みである「へらへら力」に気づいたりする中で「幸せが『ない』ことに注目するのではなく、幸せが『ある』にフォーカスすることの大切さに気付き、自称『勝手にハッピー思考』を手に入れました」と語ります。
冠野さんは自身のバックグラウンドをプラスに捉え「笑っているケアラー・ラフィングケアラー」として、家族のお世話をしています。さらに仲間と共に「任意団体K&」を立ち上げ、インスタライブでの情報発信を2021年1月よりスタート。自分の経験を伝えることで『ヤングケアラー』という言葉を広め、「ひとりじゃないんだなぁ」「大丈夫なんだ」と思ってもらえるよう、活動をしています。
今後の夢は、ラフィングケアラーの学校の設立。誰もが家族や周囲の方をケアする「1億人総ケアラー社会」を見据えて、現役ケアラーだけでなく、将来的にケアラーとなりうるすべての人に、介護から得られる学びや成長、さらに“日々のすべらない話”などを含めて、介護のプラス面を伝えています。
任意団体K&のサイトはこちら
https://concertmasterjp.wixsite.com/website
登壇者の発表を終え、それぞれが感想を述べる口調も、どこか楽しそうです。「フリースタイルの大会、いっしょにやろうよ」とボウズさんがGENさんにワクワクして語る場面もありました。
「人のことを思いやっているんだなぁ」
「人のために何かできた時って、幸せになるんだと、勉強になりました」
自然豊かで、瀬戸内海の多島美が魅力的な、晴れの国・岡山。そこで繰り広げられている、数々の活動。17回目のおかやま100人カイギは、「人ありきの活動」の発表に触れられた、豊かな時間となりました。
次回vol.18は、12月15日(水)。オンラインで配信予定です。
ゲストの詳細は、FacebookやTwitterでご案内するので、お楽しみに!