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「県民に信用されない」と専門家指摘 香川県議会ゲーム依存症対策条例成立 制定過程が“不透明”

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 香川県議会で18日、全国で初めてとなるゲーム依存症の対策条例が成立しました。  県民から意見を募る「パブリックコメント」の詳細が議員にすら公開されないまま採決されるなど、異例づくめとなった今回の条例の制定過程について、行政運営に詳しい専門家は「県民に信用されない条例になる」と指摘します。

(香川大学法学部/三野靖 教授) 「なぜこの条例を制定したのか、そしてなぜ(ゲーム利用の)時間制限なのか、なぜパブリックコメントは公にできないのか、説明できない中で採決したっていうことは極めて議会として無責任な対応だと思います」

 香川県議会は18日、子どもがインターネットやゲームの依存症になることを防ぐのを目的とした対策条例案を議員発議し、賛成多数で可決しました(賛成22 反対10 退席8)。この条例は4月1日に施行されます。

 条例制定過程の問題の一つは14人の議員からなる検討委員会の不透明さです。  あわせて7回の会合が開かれましたが、6回目と7回目の審議部分は非公開に。きっかけは「18歳未満のゲームの利用は平日1日60分、休日は90分まで」という文言が記載された素案が示され、全国的な反響があったこと(のちに「基準」から「目安」に表現を修正)。  また、「これまでの慣例」だとして議事録も残していません。

(香川大学/三野靖 教授) 「結局、検証のしようがないということですよ。なぜこの条例が制定されたのか、その制定過程でどういう議論があったのかっていうことが、ちゃんと検証できるようにしておかないと条例の独り歩きってこと、それを促進してしまう可能性がありますよね」

 検討委員会の委員長を務めた大山一郎議長は、非公開にした理由について、ネット上のひぼう中傷や、議員個人への恫喝の電話などが寄せられたことを挙げています。


(香川県議会/大山一郎議長) 「(委員の)皆さんが思っている正しいことを言えるようにしたいということで、非公開にしたというのが現実であります」

(記者) 「今回の条例制定過程で最も疑問が残るのがパブリックコメントの扱いです。公表された概要版全81ページ中、賛成意見の概要は1ページのみ。しかし、表紙につけられたのは圧倒的に賛成多数であるという数字です」

 個人と団体、事業者から寄せられた2686件の意見のうち、賛成は84パーセントにあたる2269で、反対は401。  そもそもパブリックコメントは賛否を問うものではないし、賛成・反対の意思表示を求めてもいませんでした。

(香川大学/三野靖 教授) 「本来は意見1つ1つに対して、『これはここに反映されてます』とか『これはあなたの意見を反映させましょうか』とか、作業をやるのがパブリックコメントなんです。ただ賛否だけってことになると本当に真摯にパブリックコメントを寄せた人に対する背信行為だろうと思いますね」

 委員にパブリックコメントの概要版が示されたのは、3月12日の最終会合の当日。  委員への取材によると、「内容を精査する時間がほしい」と求める意見もありましたが、「賛成も多いし早く採決しよう」と促す声があり、20分で審議は打ち切られたということです。

(香川大学/三野靖 教授) 「パブリックコメントを形だけやって自分たちの意見に都合いいように使っていると、結果的に条例に対する信用というのがなくなってきて、条例自身がそもそも意味のないものになってしまう、そういう逆の効果を呼ぶと思います」

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